the PIXEL MAGAZINE

ARTICLES ARTIST #渋谷員子 #Muscat 2024.06.07

スクウェア・エニックス 渋谷員子×ピクセルアーティスト Muscat ドット絵対談 Part5

2022年9月に行われたピクセルアーティストMuscat氏と、『ドット絵の匠』こと渋谷員子氏の対談の一部を特別公開!

最終回である第5回では、さまざまことについて語り合ってきた2人が、これから挑戦してみたいこと、そして渋谷氏が考えるドット絵の“スランプ”に陥らないための秘訣について深掘りした。(文=坂本遼󠄁佑|Ryosuke Sakamoto)

Muscatがこれからやりたいこと

渋谷員子 最後に、Muscatさんがこれからやりたいことって、なにかあるんですか?
Muscat 私は、ゲームからピクセルアートに興味を持ったので、やはりゲーム関係の仕事はやってみたいです。今でもいいなって思う演出は、圧倒的にゲームで見つけることが多いので。
渋谷員子 Muscatさんならできそうですね。どんなジャンルのゲームとかは決まっているんですか?
Muscat ジャンルについては決めていませんが、ストーリー性を持った作品を制作してみたいです。私は、創作を通して自分のメッセージを伝えたいので、ゲームを進めていくなかで、プレイヤーの心になにかが残る作品になればと思っていて。
渋谷員子 いいですね。自分がやりたいことを口に出して言い続けることは、本当に大切なことだと思います。
Muscat 自分がピクセルアートを始めたのは、大学生時代に交通事故でケガをしたことからリハビリ施設に入ることになって、空き時間にドット絵を描いてみたのがきっかけだったんです。
就職活動が始まる前だったので、ゲーム会社の求人に応募することもできず。趣味でドット絵をSNSに投稿していたら、ありがたいことに企業の方から映像やイラストの仕事をいただけるようになって。でも、いつかはゲームの仕事もしてみたいと思っています。
渋谷員子 自分がやりたいことを言い続けると、人とのご縁につながっていきます。このようなインタビューやSNSなどで発信し続ければ、いつか実現すると思いますよ。
Muscat 改めてちゃんと声に出していこうと思います!
渋谷員子 ものを作る人に年齢は関係ないです。情熱があればいつまでも“作る人”であり続けられる。私が「ファイナルファンタジー」のチームに入ったのは、21歳の時でしたが今でも新しいことに挑戦し続けています。
そういう積み重ねの先に未来があるから、Muscatさんも今の仕事を大事にしていけば、ゲーム制作への道も開けるのではないでしょうか。

渋谷員子がこれからやりたいこと

Muscat 渋谷さんが、これからしたいことはなんですか?
渋谷員子 ひとまず私は、皆さんになにかを残していくフェーズに入っていると思っているので、少しでも会社に貢献できるよう、ゲームの知識や情報を多くの人に発信していきたいです。
Muscat 会社員としてメッセージを発信するんですか?
渋谷員子 そうですね。私は35年以上スクウェア・エニックスの社員として仕事をしてきましたが、ひとりでここまで来たのではなく、いつもたくさんのスタッフの人たちに支えられています。なので、会社や業界に少しでも恩返しできたらと考えています。
また、昨今のSNSの大幅な普及によって、ゲームファンの方々やメディアなどに認知していただいて、イベントやインタビューなどのお声がけも多くいただいています。そのお返しとして、私は皆さんになにかメッセージを残していければと願っているんです。
Muscat 素敵な夢だと思います。
渋谷員子 趣味としては、やはりモノづくりが好きなので、なにかしらの創作活動はしていきたい。例えば、絵じゃなくても、お料理とかパン作りとか、アクセサリーを作るのも得意です。あとはインテリアやファッションも好きだし、“美”に繋がるものならなんでも挑戦してみたいです。

他人と比べず“自ら”を超えていく

渋谷員子 よく人と比べて落ち込んだり、悩んだりする人がいますが、そういうことは気にしないことが大切です。私は人と自分を比べないようにしているので、他の人が描いたイラストを見て落ち込むことがありません。「うわ!素敵!」と思うことはありますが、それを自分が描けるかどうかは別の話。そこでコンプレックスを感じる必要はないと思います。
Muscat 確かに人と比べて悩んでいる人は多そうですね。
渋谷員子 自分では描けそうにないけど、すごく素敵で好みの絵に出合ったら、模写してみるのも良いと思いますよ。誰にも見せない自分のための練習です。
誰かの絵を真似るのは、美術史のなかでも多くの画家がやってきたこと。生まれた場所も、育った環境も違うのだから、他の人とまったく同じようには描けません。でも、模写をするうちに光や影の描き方、色使いなど勉強になるところはたくさんあるはず。影響を受けるのは悪いことではないので、試行錯誤しながら自分の世界観を作りあげていく過程を存分に楽しんでください。比べるのは昨日の自分と今日の自分ですよ。
Muscat それはドット絵にも言えることでしょうか?
渋谷員子 自分なりの世界観を作るという意味ではドット絵も同じですね。たくさんの作品を見て、たくさん経験して、自分の軸となる画力を上げながら、新しい画風にチャレンジしていきましょう。
Muscat 私もこれから他の人の作品を模写してみようと思います!
渋谷員子 たくさん吸収して、たくさん描いて、さらに“Muscatワールド”を広げていってください!

  • Muscat
  • 渋谷員子